蕎麦好きの独り言(2014.07.01up)

その八、「和魂漢才」


鳥海山と蕎麦の花



早いものでもう一年の半分が終わった。
梅雨らしき降雨も少なく田んぼも乾いてきた。蕎麦畑も早いところは白い花が満開でとても綺麗だ。日々蕎麦打ちに励んでいると言いたいが実際の所はまるっきりやっていない。と言うのも何かと藪用が多くやっている暇がないのだが…
言い訳は止そう。

雨と言えば水であるが、ここ庄内の地にも名水は多くあちこちに湧き出ている。自分は基本的に山屋なので生水を飲んで具合が悪くなることはないが、里の水くみ場には必ずと言って良いほど「生水につき飲用注意」とか「飲用には適しません」とか書いてある看板がある。これはどういうことかと言えば、水を塩素処理していないだけの話なのだ。つまり水道水は必ず塩素処理していると言うことで、俗に言う「カルキ臭い水」以外は水道法上飲用には適さないと役所が勝手に言っているだけのことなのだ。

朝日連峰の稜線にも銀玉水、金玉水、碧玉水などの名水があるが、これらは日本の宝である。
龍門小屋や狐穴小屋にも豊富な水が流れ出ている。皆湧水であるが非常に美味い。朝日ビールは別格として、下手なビール系の飲料より格段に美味いと筆者は思っているが、。これらの湧水を小屋内に引き込んで飲料水とすることは法的に問題があるそうで、大っぴらには出来ないらしく、大体の小屋では掃除用の水と表示してある。けれども筆者は大っぴらに飲用しているがお腹をこわしたことは一度もない。あくまでも自己責任ではあるが…

では山での飲料水はどうするか、営業小屋等ではペットボトルに入ったミネラルウォター以外は売ってくれない。お湯やお茶として加熱した水は有料で分けてくれる所も多いが、基本的に山での飲料水は下から担ぎ上げるか現地の湧水や沢水、あるいは融雪水や雨水を飲むことになる。これは役所の責任範囲外ということでどうぞ自己責任で勝手に飲んでくださいと言うことらしい。それほど里の水道水が安全な飲み物であるとは考えられないが、お上のすることは絶対正しいと言うことに今のところしておく。

大都会と違い田舎の水道水は直接飲んでもそんなにまずくはないが、浄水器を通している人も少なからずいるのではないだろうか。良く聞く話が欧州の水は硬水、日本の水は軟水だと言うこと。カルシウムとマグネシウムの含有量の差だというが、御山に降った雨や雪が里に湧き出すまでに山から溶け出した成分が多いか少ないかと言うことらしく、難しい算定式もあるようだがあまり得意でないので割愛する。

某山岳会では硬水、軟水、自然水と区分して使っているようだが、性格な意味など知らないが多分スラングだろう。
硬度の高い水を日本人が飲むと必ずお腹を壊すらしい。と言うかヨーロッパに渡ったことのない筆者には良く理解できないが、日本人は基本的に海外に行ったら生水は飲まない方が無難だと言うことらしい。

日頃アルコールで清めている我が胃袋は、少々のことで壊れないと自負しているが、硬水と呼ばれる水も日本で入手出来るそうだ。便秘のときにでも一度飲んでみたいが、便秘自体めったにしないので無理だろう。
何を言いたいかと言えば、蕎麦打ちにミネラルウォターを使用する人も多いと思われるが、硬度の高い水は蕎麦が繋がりにくくなると言う話を聞いたことがある。硬度の基準では60以下が軟水で、60〜120までが中硬水と呼ばれているらしい。つまり日本の水は概ね硬度60以下だと言うことで、試しに地元の水道局のHPで調べたら我が家の水道水は24ぐらいだった。
筆者は蕎麦打ちの際に水道水以外を使用したことはないが、エビアン等のミネラルウォーターは注意が必要みたいだ。
今度地元の名水を汲んできて蕎麦打ちをしてみよう。美味しい水のある蕎麦屋のものは美味いという話は良く聞くので試してみたい。手始めは「さんゆう」かな、いやいやちょっと遠いが秘密の水場があるのでそっちにしてみようか。水は日本の宝なのだ。
妄想ばかりがふくらむ…

  
鳥海の麓にこんこんと湧く名水


話が突然変わって恐縮だが、以前も書いたことだが蕎麦も好きだがラーメンも大好きなのだ。それもレトロな「これぞ本来の中華そば」という店を探し歩いている。
先日某市に用事があり出かけたが、その時にやっとの事でたどり着いた店の写真を紹介する。



知っている人もいるだろうが…


いやあ、出てくるまでワクワクしましたねぇ…
ネット等で探せば見つかりますよ。でも話題になると(なるはずないが)琴平荘のようになっちゃ嫌なので店名は敢えて書きません。

開店時間ちょうどに入店すると暫くして年配の女主人が扉を開け奥から顔を出す。
普通盛りを頼むと傍らにある麺箱の蓋を開け、麺玉を手で暫くゴシゴシ揉んでから別室に姿を消した。
店内を見回すと決して綺麗ではないが懐かしい雰囲気がたまらない。
店内は4人入れば満員御礼、椅子が4つしかない…
これぞ昭和の中華そば屋そのものなのだ。



メニューはこれだけ
このシンプルさがたまらないのだ…



ゴシゴシ麺を手揉みするとこだけ客の前でやり、後の調理は別室でやるというのは何か意味があるのだろうかと後で議論になった。

勘ぐれば、ばあさん独特のパフォーマンスか?
 いやいや敢えてそんな芸をするような店じゃない。
  いや、丁寧な手作りで美味しい中華そばを作ってますよと、アピってるんだ。
   そんなん考える必要なんて無いよん。
    ………



突然別の扉が開いた。???
でも人は出てこない。暫くして「お待たせしました〜!」と奥から声がした。
また暫くしたら扉の奥から「10歳若くなったばあさん」が、直接どんぶりを手に持って現れた。???

「10歳若くなった…」は、多分ばあさんの娘さんだろう。顔がハンコだった。(笑)



昔懐かしい昭和の中華そば
普通盛り550円也


まずはスープから…(涎)

決して醤油臭くなく、でも正統的な醤油味、すごく優しい味だ。
出汁は何だろう?

麺は細い縮れ麺でスープが良く絡んで美味しい。

焼豚は厚く細いやつが2枚、良く味が染みていてGood!
メンマも良く合うし三角に切った海苔の味がまた良い。

個人的に麺が少し柔らかく感じたが、全体的には理想に近い中華そばでした。
勢いでスープを全部飲んだら後で喉が渇いてしょうがなかったが、また行きたい店を見つけました。(笑)

「蕎麦」と「そば」は国籍こそ違えども、どちらも奥が深いのだ。